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前のめりになる姿勢を分析する【巻き肩・猫背編】

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前のめりになる姿勢を分析する【巻き肩・猫背編】

前から見ると何も無いように見えるが横から見ると首から肩が「前のめり」になっているように見える。これは典型的な「巻き肩」「猫背」と呼ばれる姿勢です。日本人の男性に特に多い姿勢となります。

今回はこの前のめりを作り出す「巻き肩」と「猫背」について紹介をします。

巻き肩の生理学

巻き肩とは字の如く「肩が前に巻く」ような形になっている姿勢を指します。ただ、肩が巻くという単純な構造ではなく様々な状況が絡まりあって出来上がる姿勢です。一般的な巻き肩を起こす状況は以下の通りです

・肩関節の内旋状態
・「1」による胸郭の圧迫
・「1」「2」からの重心位置の前進(水平面に対して)
・「1」「2」「3」からの頸椎の屈曲状態(過剰前弯)
・前に倒れこむ身体を腰椎が支点となって支える状態に
・「5」の影響で股関節~膝が屈曲状態へ

ざっと代表的な巻き肩の連動を挙げてもこれだけの要素が絡みます。ただ単に肩が巻いているだけではないのです。何処が起点となって起こっているのかは「巻き肩」という結果だけでは見えてきません。生活の中に潜む原因を調べていく事が必要となります。

巻き肩を解消する為に必要な事

巻き肩を解消する為に必要な事、それは「原因を洗い出し、遡って対処する」という事になります。巻き肩は様々な問題がドミノ倒しの様に連動して起こるものです。ですのでそれを解消するには倒れこんだドミノを1つ1つ起こしていく事が必要になるのです。

猫背の生理学

背中が猫の様に丸まる状態を「猫背」と言います。日本の女性に特に多いとされる姿勢で特に高齢者に多いです。巻き肩の場合は肩を中心に前のめりになっている姿勢ですが、猫背の場合は肩よりももっと下の背中~腰まで曲がる姿勢です。

・シルバーカーを使っている高齢者に多い
・前のめりは腰から生まれている
・前のめりだが腰は少し反っている
・胸腰移行部(T12周辺)に圧痛が起こっている事が多い
・脊柱に側弯が起こっている事が多い

この様な姿勢が猫背の特徴です。日本でいう「猫背」の多くは実際は「巻き肩」であり猫背ではありません。高齢者で腰が曲がっている状態の姿勢を「猫背」と言います。厳密な線引きがされている訳ではありませんが、混乱しない為にも自分の中での線引きはすべきです。

高齢者の猫背は圧迫骨折が原因が多い

高齢者の猫背は若者の「猫背(巻き肩)」とは根本的に違います。猫背は脊椎の圧迫骨折が原因で起こるケースが多いのです。巻き肩の場合は「巻いた肩」が原因となって重心が前方へとズレ、背中が曲がります。それに対して猫背の場合は「折れた椎骨」が原因となって重心が前方へとズレ、背中が曲がります。背中の上が原因の場合、背中の下が原因の場合とその発生機序が全く異なるのです。

シルバーカーが猫背を促進させる

猫背は脊椎の圧迫骨折で起こるとしましたが、別の要因も勿論あります。その代表的なものが「手押し車(シルバーカー)」です。外反母趾はつま先の細い靴を履き続ける事で親指が悪い方向へと矯正されていくものですが、それと全く同じ現象が脊椎に起こります。シルバーカーが前方に倒れた重心を受け止めてしまう為に脊椎のS字カーブを崩す後弯姿勢を作ってしまうのです。

そしてその状態を常に維持してしまう為に徐々に脊椎は「それが普通」と認識をしてしまいます。そうなるとそれはもう「猫背」という名の「日常姿勢」です。身体が本来は異常だったはずの姿勢を日常と認識してしまう。これがシルバーカーを日常の助けとするリスクと言えるでしょう。

前のめりは癖になる前に対処しよう

巻き肩にせよ猫背にせよ、生活の中で徐々に「自然矯正」されていくものです。原因は必ず生活の中にあります。厄介なのは「自分では当たり前だと思っていた」という習慣の中に原因が潜んでいる事が多いという事です。ですので、できれば専門家の力を借りて「今の自分」を客観的に把握して改善に取り組むようにしましょう。

自分一人で対処するのは中々難しいのが「巻き肩」であり「猫背」なのです。